福岡県建築都市部
 部長 三村 保始

 近年における建築を取り巻く社会情勢は、これまでの新しい建築物をどんどん供給していく「フロー」の時代から、リフォームや用途変更等を行うことにより既存建築物を有効に活用していく「ストック」の時代へ変化しております。
 しかしながら、現行の構造規定や防火避難規定に合致していない既存建築物が多いのが実情であり、そのため、既存建築物の安全性をいかにして確保していくかということが喫緊の課題となっていました。
 このような課題に対処するため、昨年6月2日に「建築物の安全性及び市街地の防災機能の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律」が公布され、本年6月1日に全面施行されたところです。
 この改正により、危険な既存不適格建築物に対する改善措置の強化や、建築物に係る報告・検査制度の充実及び強化がなされた一方で、増改築や大規模な修繕・模様替え時における建築基準の適用の合理化もなされ、既存建築物の安全性の確保に資する制度面の整備が進められました。
 また、県内では本年3月20日に西方沖地震が発生したことにより、多くの県民の方々が地震に対して不安を抱かれるようになり、耐震対策の充実・強化に関する要求が特に強くなっているところです。本県では、被災直後より相談窓口を設置して、県民の方々の不安解消に努めてきたところですが、これと併せて平成17年6月1日からは「耐震診断アドバイザー」制度を開始しました。この制度は、県の講習会を受講した建築士の方を「耐震診断アドバイザー」として派遣し、現地調査を実施するというものです。現在、県民からの派遣要請はすでに200件を超えており、改めて県民の注目度の高さを感じているところです。これらの制度の運用に当たっては、地域に根ざした活動をされている会員の皆様方と一体になって取り組んでいく必要があると考えております。
 耐震対策以外にも、環境対策としての省エネルギー化や高齢者・身体障害者等への配慮としてバリアフリー化の促進や、急速に進化する先進技術への的確な対応等々、実に多くの取り組むべき課題が残されております。
 建築士会の会員の皆様方におかれましては、このような様々な課題に対処できるように、また、建築士としての資質と地位の向上に資するためにも、今後ともより一層、必要な知識及び技能の研鑽に努めていただきたいと心から念願しております。