法令委員会の活動報告と今後の課題

法令委員長
開田 一博

 今年度の活動は、昨年10月末の「景観法説明講習会」のお世話くらいで、それ以外に特段の活動はありませんでした。

 それは一つに県の委員会レベルでの活動ニーズが見出せなかったこと、また一つに県建築士会の財政状況に鑑み、特に意義の低い集まりを極力避けたことにあります。

 裏を返せば、法令に関する研修等はそもそも地域行政と密着した問題であり、県委員会で取り扱うよりも各支部で行う問題であり、現にそのように運営されているのが実状であると理解しております。

 ということは(委員長の立場で言うのもおかしな話ですが)そもそも「県法令委員会」はどのような経緯で、何を期待して設けられたのでしょうか?
2年前にこの委員長を拝命し、各委員の皆さまと協議の結果、法令改正後の研修をその主目的とする旨の方針を決めさせていただきましたが、以降、目立った活動もなく、今日に至っているのが実態です。

 従って今後の課題は@法令委員会という単独での委員会の必要性の是非A必要とすればそれに期待する内容の確認と考えます。

建築基準法改正及び景観法についての講習会のご案内

1.いきさつ

国土交通省の委託を受け、日本建築士会連合会は全国5ヶ所での標記講習会の開催を決定。そのうち九州については同九州ブロック会で協議され、福岡県で開催されることが決まり、福岡県建築士会が担当することとなりました。


2.講習会の趣旨

社会状況の変化に対応して@既存建築物の法的扱いに対して建築基準法改正が行われたこと及びA景観法という新たな法律が制定されたこと−の2点について広く関係者に周知徹底させることにあります。


3.講習会の内容

1)建築基準法の改正
増改築時における建築基準法の適用の変更
既存不適格建築物を一部でも増改築する際、即座に既存部分も基準に適合させる必要のある現行制度を見直し、増改築等の全体計画を特定行政庁が認定した場合には、工事に係わる部分から順次、基準に適合させることで全体計画完了時期に猶予を与えることを主とする内容のものです。

2)景観法の制定
都市、農山漁村等における良好な景観の作成を図るため、良好な景観の形成に関する基本理念及び国等の責務を定めるとともに、景観計画の策定、景観計画区域・景観地区等における良好な景観の形成のための規制、景観整備機構による支援等、所要の処置を講ずる我が国で初めての景観に関する総合的な法律です。
内容としては@景観計画制度の創設とA景観地区制度の創設という面から種種の項目が設定されています。
尚、講習会では福岡市、北九州市からの事例説明が予定されており、特に北九州市からは関門地区景観条例の施行に伴う発表があるものと予想されます。


4.講習会へのご案内

■ 期日:平成16年10月29日(金)10:00〜16:50

■ 会場:福岡建設会館8階(福岡市博多区博多駅東3-14-18)

■ 主催:日本建築士会連合会、同九州ブロック会、福岡県建築士会

■ 時間割

午前の部(CPD認定単位  6単位)
ご挨拶 10:00〜10:10 福岡県建築士会 会長 田村 弘
CPD説明 10:10〜10:30 CPD委員長 善 敏治
建築基準法改正の概要 10:30〜11:10 福岡県建築指導課  担当官
建築基準法改正の要点 11:10〜12:00   
福祉の街つくり条例について 12:00〜12:30   
午後の部(CPD認定単位  6単位)
景観法の説明 13:30〜15:20 国土交通省 担当官
休憩(10分)
景観事例の説明 15:30〜16:30 福岡市  担当官
北九州市 担当官
質問 16:30〜16:50

*詳細については申込書に記載されています。

法令委員会からの
お知らせ

建築に関する法令の制定案や一部改定案が2月〜3月にかけて閣議決定されていますので
ここでその概要と内容の一部を紹介します。
尚、施行日などの詳細は未定です。

【景観法の制定】
氈D趣旨
都市、農山漁村等における良好な景観の作成を図るため、良好な景観の形成に関する基本理念及び国等の責務を定めるとともに、景観計画の策定、景観計画区域、景観地区等における良好な景観の形成のための規制、景観整備機構による支援等所要の措置を講ずる我が国で初めての景観についての総合的な法律である。

.概要
1.景観計画制度の創設
1)景観計画の策定
景観行政団体(都道府県、指定都市等又は都道府県知事と協議して景観行政をつかさどる市町村)が策定するものとする。
また、住民等は景観計画の提案をすることができるものとする。

2)景観計画区域における行為の規制
景観計画区域内の建築物等の建築等に関して届出・勧告による規制を行うとともに景観行政団体の長は、必要な場合に建築物等の形態又は色彩その他の意匠(形態意匠)に関する変更命令を出すことができるものとする。

3)景観重要建造物
景観計画区域内の景観上重要な建造物を景観重要建造物として指定するとともに、
その現状変更には景観行政団体の長の許可を必要とするよう措置する。また、景観整備機構が管理協定を締結し、景観重要建造物の管理をすることができるよう措置する。

4)景観重要公共施設の整備等
景観計画に定められた道路,河川等の景観重要公共施設については、景観計画に即して整備することとし、 景観計画に定める基準を景観重要公共施設の許可の基準に追加できることとする。
また、電線共同溝の整備等に関する特別措置法の特例を設けることとする。

5)景観農業振興地域整備計画
景観計画区域内の農業振興地域に景観農業振興地域整備計画を定め、当該区域内における土地利用についての勧告、景観整備機構による農地の権利取得 等ができるよう措置する。

6)自然公園法の特例
景観計画に定める基準を国立公園又は国定公園に関する自然公園法の許可の基準に追加できることとする。

7)景観協議会
景観計画区域内における良好な景観の形成を図るための協議を行うため、景観行政団体等は景観協議会を組織することができることとし、景観協議会で協議が整った事項については尊重しなければならないこととする。

2.景観地区制度の創設
・市町村は、市街地の良好な景観を形成するため、都市計画に、建築物の形態意匠の制限等を定める景観地区を定めることができることとする。

・景観地区内で建築物の建築等をしようとする者は、当該建築物の形態意匠が景観地区の都市計画で定める建築物の形態意匠の制限に適合することについて市町村長の認定を受けなければならないこととする。

・市町村の条例で、工作物の建設、開発行為等について必要な制限を定めることができるよう措置する。

・市町村は、都市計画区域及び準都市計画区域外の景観計画区域において準景観地区を定めて、条例で、景観地区に準ずる制限を定めることができるよう措置する。

3.景観協定の締結
景観計画区域内の土地の所有者等は、景観協定(承継効あり)を締結することができることとする。

4.景観整備機構の指定
景観行政団体は、良好な景観の形成のための業務を適切に行う公益法人やNPO法人を景観整備機構として指定することができることとする。


【建築物の安全性及び市街地の防災機能の確保等を図るための建築基準法等の一部改正】
氈D趣旨
建築物の安全性及び市街地の防災機能の確保等を図るため、 建築物に係る報告・検査制度の充実及び強化、防災街区整備事業の推進のための支援措置の拡充 等所要の改正を行う。

.概要
1.建築物の安全性の確保(建築基準法の一部改正)

1)建築物に係る報告・検査制度の充実及び強化

@国、都道府県及び建築主事を置く市町村の建築物のうち、不特定又は多数の者が利用するものについて、損傷、腐食等の劣化の状況を定期に点検することを義務づける。

A特定行政庁等による報告徴収の対象に、定期点検等を行った一級建築士等を加える。

B建築主事等は、違反是正命令等をするために必要な限度において、建築物等の立入検査をすることができることとする。

C定期報告等の書類のうち建築物の安全性等に係る一定のものを、特定行政庁における閲覧に供することとする。

2)著しく危険又は有害となる恐れがある既存不適格建築物に対する勧告及び是正命令制度の創設
特定行政庁は、不特定又は多数の者が利用する既存不適格建築物について、劣化が進み、放置すれば著しく危険又は有害となる恐れがあると認めるときは、所有者等に対して勧告し、必要な場合には是正命令を行うことができることとする。

3)既存不適格建築物に関する規制の合理化
@増改築時における建築基準法の適用の合理化
既存不適格建築物を一部でも増改築等した際に、即座に全基準に適合させる必要のある現行制度を合理化し、増改築等の全体計画を特定行政庁が認定した場合には、工事に係る部分から順次基準に適合させることを可能とする等の措置を講ずる。

A既存木造住宅向けの改修基準の整備
現行では増改築時に新築基準に適合させるために基礎の撤去・新設等が必要となるところを、既存基礎の補強等による対応で可能とする等の措置を講ずる。

4)罰則の強化(是正命令に従わない場合の法人重課)等

2.災害に強いまちづくりの促進(都市計画法等の一部改正)
1)密集市街地における地震災害・大規模火災対策等
@特例容積率適用区域制度の拡充
商業地域にのみ定めることができる容積の移転が可能な特例容積率適用区域を、一部を除く他の用途地域においても定めることができる特例容積率適用地区に拡充するとともに、当該地区において建築物の高さの最高限度を定めることができることとする。

A防災空間の確保のための一団地認定制度の創設
市街地における防災空間の確保等のため、隣接空地を含む一団地内に建築される一の建築物について、特定行政庁の認定を受けて、当該一団地を当該建築物の一の敷地とみなして容積率等の規制を適用することができることとする。


法令委員長
開田 一博

所信

 今回、法令委員長を仰せつかりましたが、進め方についてまだ試行錯誤というのが実情です。とはいえ「法令」という断面から見ると、最近の社会情勢の変化と共に都市計画及び建築計画に対する必然性が変化し、それに伴い大幅な法令改正が頻繁であるというのが現状です。このことを踏まえ、「それに至った経緯・背景とその内容を行政と連携して如何に正確に会員の皆様に伝えるか」また場合によっては「その改正に対して意見具申を行う」というのが建築士会の大きな役割の一つと認識しています。
 当該委員長としましては一つに各地域から代表として選出された各委員の意見に耳を傾けその意図されることを確認しながら、委員会としてとり纏め、それを具現化していくことであり、一つに行政側との連携を図り相互に理解を深めていくことであると考えています。
 これらを実のあるものにするには、「社会に貢献する」というボランティアの精神に立った各委員をはじめとする会員の皆様のご協力が全てですのでよろしくお願いします。皆で一緒に進めていきましょう。

委員会活動計画

「法令改正に伴うその周知徹底活動」を委員会の基本スタンスとして、現在推進中です。
具体的には今までに2回の委員会を開催し、
1.シックハウス対策に伴う法令講習会の開催とその後のフォローとしてのアンケート調査の実施
2.アンケート調査結果分析と今後の対応策検討(一部実施に移行中)
3.県に対し「市街化調整区域等における建築物の形態規制」に関する意見具申
等を行ってきました。
今後も各委員からの情報を基に実態を把握しながら、行政などの動きと連動して、その都度タイムリーに事を進める計画です。