平成17年度 福岡・まちづくり活動支援センター委員会事業報告

NPO法人八女町並みデザイン研究会
理事長 
中島 孝行


事業名:八女の伝統建築・工法の保存と継承事業
活動のテーマ:地域の伝統建築および工法の保存と継承
事業目的:八女福島地区の地域資源の保存活用と、次世代への継承
事業内容:小学生の伝統工法体験
          :伝統家屋の調査・活用計画作成

出前授業(小舞の模型で説明)

土壁塗り体検(清田家)

伝統家屋の調査の様子

棟札に体験した小学生全員がサイン

清田家修理後

活動実施期間:平成17年9月7日〜平成18年1月17日

効果
・小学生の伝統工法体験、出前授業:子どもたちと先生方の、地元の伝統的町並みと伝統工法、まちづくりへの理解が深まった。また、この体験授業が新聞やテレビで報道され、地元での関心も高まった。
・伝統家屋の調査および活用計画作成:建物の建築年代、工法、用途の変遷等の特性が明らかになり、価値のある物件であることを証明することができ、建物の保存に貢献した。また、修理方針を定めるための基礎資料となった。


社団法人福岡県建築士会福岡支部
角銅 久美子

事業名:花ば咲かせ隊 ふれあう心育て隊
    
活動のテーマ:緑と花と夢いっぱいの中庭づくりin東花畑小学校

事業目的:小学校の中庭を小学生・PTA・地域
          保育園職員・NPOが協働で製作 
          地域の花と緑の発信地 
          交流の場とする。



事業内容:既存の中庭を、改造レンガ5000枚を使ってワークショップを重ね、合意したのものを、汗を流して製作。土入れ植付け ゲートづくり 池の改造 倉庫のペンキぬり等完成させた。参加地域団体(自治協議会、自主防災防犯協議会、町内会、老人クラブ、PTA,体育振興会、公民館、など)

活動実施期間:平成17年4月〜平成18年3月まで

効 果:◎ 子どもたちの夢の実現 楽しさの体験
        ◎ 地域の豊かなコミュニケーションの場作り
        ◎ 環境教育の場作り
        ◎ 高齢者の生きがい作り
        ◎ 情操教育の向上

―八女福島地区の伝統的建造物の保存修理の現場から―

NPO法人八女町並みデザイン研究会
理事長 
中島 孝行


1. 八女福島の概要
 
八女市は、福岡県南部に位置し、人口4万の地方の小都市である。また、八女茶・電照菊といった農芸、手漉き和紙・仏壇提灯などの手仕事・職人の工芸の町でもある。そのほぼ中心に八女福島がある。
 町の成り立ちは、近世初期に形成された城下町(福島城)を起源にして、この地方の在方町として発展した経緯を持つ。今日でも三重の堀割跡、寺社境内、城内を迂回する往還道の枡形など、城下の面影を残している。この往還道は城内をコの字型に屈曲し、約1.6Hと続き、江戸後期から明治期にかけて「居蔵」(妻入り、入母屋、大壁塗込造り)と呼ばれる土蔵造りの伝統的な町家が立ち並ぶ。商家型・職人型の町家が存在し、特徴的な町並みを形成している。

2. 八女福島のまちづくり経緯

 地域住民が八女福島の町並みの価値を共有するきっかけとなったのは、昭和63年に「旧木下家住宅」(堺屋)を市に寄贈され復原修理されたことや、平成3年の北部九州を襲った台風被害によって、老朽化した伝統的建造物が数多く取り壊されたことである。丁度、日本経済のバブル崩壊も地域住民の保存運動に後押しすることとなった。
 八女福島地区では町並みを舞台としたイベントが様々なまちづくり団体が参加して行なわれる様になり、市内外へ伝統的町並みを発信することとなり、官民のパートナーシップによるまちづくり運営が始まった。平成7年には国土交通省の街並み環境整備事業(以下、街環事業)、平成14年には、文化庁の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、保存修理事業(以下、伝建事業)が進められている。

3.NPO法人八女町並みデザイン研究会
(八女支部有志)
1)設立の経緯
街環事業が進んで行くうちにオーセンティシティに欠く修理・修景が行なわれてきた。また、住民組織である「八女福島伝統的町並み協定運営委員会」より相談・設計・工事といった一連の作業をとり行なう専門家集団の要請があった。それに応えて福岡県建築士会八女支部の有志で、平成13年に「八女福島町並みデザイン研究会」を設立した。

 平成15年には、NPO法人化して「NPO法人八女町並みデザイン研究会」を設立し、現在会員34名:(設計事務所13名・工務店等21名)で組織し、街環事業・伝建事業に対して技術的な支援を行なっている。

2)活動の内容

a.  無料相談
修理・修景の希望者に対して街環・伝建事業の内容・工事説明及び緊急度の高い建造物の優先順位を決定している。

b. 調査
保存するための伝統的建造物や、市から要請された伝統的建造物の履歴調査を行なっている。景観形成地区案づくりの為の建造物調査も行った。

c. 研修会及び学習会
伝統工法の技術学習会として、修理・修景事業の現場研修会を工事中及び竣工後に2回行っている。また、伝統工法による設計単価(代価)の検討会も行っている。各研修会等にも積極的に参加している。

d. 修理修景普及活動
地元住民の方々への普及活動として、竣工後に担当した設計士及び工事施工業者より伝統工法で苦心した点等の説明会を行っている。

e. 福島小学校の総合学習への支援
修理・修景中の現場で伝統工法の体験学習として、6年生を対象に土壁塗り、土間の三和土、ベンガラ柿渋塗りを行っている。体験前に八女福島の町並みや町家の出前授業も行っている。

f. 伝統的建造物の保存修理・修景事業の実践
・設計監理者
 設計監理の担当は希望を募り、履歴調査を行い復原図をもとに設計監理業務を行っている。
・施工者
  施工の担当は希望を募り、1物件に対して3〜4施工者による競争入札で決定している。

3)伝統的建造物の保存修理・修景事例

a. 塩塚家主屋(修理)
明治期に料亭として建築される。昭和10年頃の軒切りにより洗い出しの洋風建築に変わる。昭和46年の写真を元に復原した。表の柱型の洗い出しには目地が無く左官さん3名が縦に並び作業を行った。木工製品の店舗として再生した。

b. 牛島家主屋(修理)
昭和初期道路開通の折、残った敷地に洋品店として昭和6年に建築される。その後、金福堂という書店に変わる。平成3年の台風被害で傾き隣家に寄りかかっていた為、全解体修理をしたが、仕口の差し替えに苦労した。現在は所有者が変わり、レストランとして蘇った。

c. 高橋家主屋(新築修景) 
街環事業で平成14年に八女福島の伝統様式に沿った新築修景した住宅である。基礎下の地業工事では、三河土搗保存会の協力を得て、伝統的な土搗(どうづき)を行った。控え目に鼠の漆喰鏝飾りがある。また、八女手漉き和紙張りの建具や、銅製アンコーの仏壇金具の彫金による屋号など八女の伝統工芸とのコラボも試みた。

d. 高橋家土蔵(修理)
江戸末期の土蔵の修理では、福島小学校6年生による土壁塗り体験を行った。現在大人の遊び場として開放されている。

4)今後の展望と課題
a. 修理・修景の技術レベルアップ
痕跡調査・履歴調査の充実を計り、文化財としてより正確な修理、及び修景を目指す。また、他地区の方々と積極的に交流していきたい。
b. 伝統工法の技を再構築
失われつつある伝統の技を再生し、次代に継承するシステムづくりや職人の育成が急がれる。多くの職人の方々の参画を望む。
c. 伝統的建造物の保存再生の普及
伝統地区のみならず、多くの伝統的建造物の保存再生を願っている。住み手と共に作りながら普及活動を展開したい。

福岡・まちづくり支援センター委員会
委員長 
小林 隆利


 当委員会では引き続き次年度も、皆様の各支部の関わった事業に対し人的・資金的支援が出来るように委員会一同努力しますので、皆様より支援を受けたい事業の申請を数多く出して頂きますようにお願いします。
 又、次年度より連合会の動きをにらみ、「景観法」に関連した「景観整備機構」について対応をどの様にしていくのか県担当課と協議していきます。協議の内容は逐次報告しますのでお楽しみに。
 皆様には1月の連合会会議に参加して頂いた県担当者の会議出席の感想を読んで頂きどの様なものか感じて貰いたいと思います。


まちづくり会議「景観法をどう活用するか」に出席して

県 建築都市部 都市計画課 都市政策係 M.K

 昨年4月より景観に関する行政に携わるようになり、景観に関するいろいろな会議やシンポジウムに出席し、景観に関しいろいろな角度から勉強させていただいているところです。
 今回、初めてまちづくり会議に出席させていただきましたが、基調講演、事例発表、ワークショップと2日間の日程に盛りだくさんの充実した内容でした。
 基調講演は、今回のテーマであります「景観整備機構」を中心とした講演でしたので今までにないお話を聞くことができ大変参考になり、改めて景観整備機構の位置づけや役割といったものが確認できました。
 事例発表では、景観法に基づく景観整備機構に指定された建築士会の先進的事例紹介や、指定に向けて模索している段階の事例等を聞かせていただき、大変勉強になりました。全国的に景観整備機構の指定が少ない中、建築士会が率先して指定されていることは知っていたのですが、みなさん真剣な趣で事例紹介等に耳を傾けていたので、私にとってはとても新鮮に感じました。また、指定前後のそれぞれの立場での意気込みや悩みなど現場での生の声が聞けたこともよかったと思います。
 ワークショップにおいては、10人ほどのグループに分かれ「建築士会が景観整備機構になって何ができるか」について議論、発表を行いました。建築士会の方からは地域密着の重要性や建築士会の事業として成り立つことの重要性などプロの建築士としての発言や、行政担当者からは指定後の運用方法を考えて指定することの大切さなど、ワークショップの利点が活かされ意見が飛び交いとても有意義な議論ができたと思います。
 最後になりますが、今まで景観法といえばすぐに「景観計画」に頭がいっていたのですが、今回このまちづくり会議に出席しいろいろなお話を聞き、景観整備機構の役割はもちろんのこと、建築士会の方々の景観や景観整備機構に対する意気込みというものがわかり、景観の奥の深さというものを改めて感じることができました。

福岡・まちづくり支援センター委員会
委員長 
小林 隆利


 今回のセンター委員会よりの報告は次の2点です。

1.今年度の支援事業について

     次の4件の支援申請がありました。
      福岡支部  「花ば咲かせ隊」
      福岡支部  「防災対策協議会」
      八女支部  「白壁のまちづくり」
      久留米支部 「通学路危険度調査」
     審査の結果、2件に決定しました。
      @ 福岡支部 「花ば咲かせ隊」
      A八女支部 「白壁のまちづくり」
     各事業者へ¥150,000−ずつ助成を行う予定です。 

2.連合会主催 第15回街づくり会議(平成17年度)について

 今年のテーマは「景観法をどう活用するか−建築士会はどの様な景観整備機構を目指すか−」です。1月13(金)〜14日(土)で東京の「建築会館ホール」で開催されます。福岡県から行政と士会の担当者を2名派遣し成果を当士会へ持ち帰り報告を行う予定です。  


お 願 い

 この委員会は「情報が命」。会員の皆様からの情報を元に運営しています。会員のご助言が何より必要です。
 「街づくり支援センター委員会」に興味を持って頂き、意見を出して頂けるように士会のホームページに平成16年度の支援事業報告書を掲載しております。又、次年度の事業募集も行っております。ご一読下さい。

福岡・まちづくり支援センター委員会
委員長 
小林 隆利


 早、委員長を拝命し2年が過ぎ3年目に入りました。
今年度から田中県建築士会会長の方針の下、心を新たにして支援センターを運営していきたいと思います。今年度もご支援宜しくお願いします。
 何分、この委員会は「情報が命」会員の皆様からの情報を元に運営します。当委員会の委員も各支部より選抜されて出向して頂いており各地区の情報は十分に収集可能だとは思いますが、会員各位のご助言が何よりです。私たちは会員各位が「街づくり支援センター委員会」に興味を持って頂き、意見を出して頂けるように活動します。ご指導宜しくお願いします。
 先ずは、「支援申請」を県事務局まで自薦他薦どちらでも構いませんので宜しくお願いします。

街づくり支援センター委員会活動計画

 当センターは、一言で説明しますと、「街づくり」を行っている団体を支援しようとするものです。支援申請できる団体の条件はありますが、建築士会が本来、積極的に参画し行うべき「街づくり」を主に資金的にも補助しようというものです。
 作年度は福岡市の「花ば咲かせ隊」の活動を始め、北九州より2件「櫓山荘の模型復元に向けての実施調査」・「北九州市:女性のための市民大学」及び久留米市より「宮の陣小学校施設改善事業」の助成申請を受け、各々助成をさせて貰いました。
 今年度は上記の他にも、県内各地区で様々な「街づくり」が行われていると思いますので、それらの活動を支部別に調査し、活動を士会内部へ広報したいと思います。会員の活発な活動に刺激を受けた会員が生まれ、事業に参画されるようになれば、当センターの意義は第1段階達成できたと思います。
以上のことをふまえ、下記に活動方針を箇条書きにてまとめます。ご参照下さい。

記(委員会活動方針)

1.県内各支部が参画している「街づくり関連事業」の発掘・調査
2.士会員が参画している「街づくり」事業への資金支援
3.士会員が参画している「街づくり」事業への情報提供その他の支援
4.士会員が参画している「街づくり」事業の広報
5.活動における士会会員の自己啓発