
■時代の潮流
平成18年6月2日に交付された公益法人制度改革関係三法が、いよいよ今年の12月1日までに施行されます。この制度改革により、私達建築団体は、建築基準法・建築士法の改正に加え、3 つ目の大きな時代の波にさらされるわけです。新制度の施行に当たっては 5 年の猶予期間が設けられていますが、 組織レベルの改革であることから、その舵取りの意思決定に相当の時間と労力を要します。また、この公益法人改革は士法改正と無関係でもありません。建築士等の試験業務、あるいは建築士や建築士事務所の登録業務と密接な関わりを持っているのです。改革の波は大きなうねりとなっています。時代の波に取り残された化石のようになることなく、しっかりと情報収集を行い、早め早めに対応策を打ち出していくことで、新しい建築士会の航路を開いていく大切な時期に差しかかっています。
■公益社団法人とは
内閣官房行政改革推進事務局発行「公益法人制度改革の概要」によれば、公益法人制度改革とは、「民間非営利部門の活動の健全な発展を促進し、現行の公益法人制度に見られる様々な問題に対応するため、従来の主務官庁による公益法人の設立許可制度を改め、登記のみで法人が設立できる制度を創設するとともに、そのうちの公益目的事業を行うことを主たる目的とする法人については、民間有識者による委員会の意見に基づき公益法人に認定する制度を創設しました。」と説明されています。つまり現在の社団法人は、「一般社団法人」とより公益性の高い「公益社団法人」に分離され、一般社団法人は登記のみで容易に設立できるようになるため、その門
戸が大きく開かれる一方、厳しい認定基準をクリアして公益社団法人となれば、税制面等で優遇されることになります。
■連合会方針と当会の対応
日本建築士会連合会では、昨年度末、建築士等の試験業務や登録業務の受託を視野に入れ、「公益社団法人」を目指す方針を打ち出しました。 当然、 各都道府県建築士会も同じ方向を目指すことになります。 福岡県建築士会では、 今年度初頭、 公益社団法人への移行に伴う組織改革を推進する 「組織改革特別委員会」 を組織して、 公益社団法人に関する情報収集、 会員への情報提供、 県本部と各支部の組織構成のあり方に関する検討、 並びに各支部役員の意識改革を図るための啓発活動を行うことにしました。 この記事を書くのもその活動の一環です。 公益社団法人の定款に関するガイドラインが 5 月頃出来上がる予定ですので、 組織改革への具体的取組みはその発行を待ってからになりますが、 事前に公益法人改革の概要についてシリーズでご紹介していきたいと思います。 次回は、 公益社団法人の認定基準等についてご紹介する予定です。

先月号では、 今回の法改正により現在の社団法人が 「一般社団法人」 とより公益性の高い 「公益社団法人」 に分離されることを紹介しました。 今月は、 公益法人認定の概要について説明します。
■認定の効果
公益社団法人として認定されると、
○「公益社団法人」 という名称を独占的に使用できる
○公益法人並びにこれに対する寄附を行う個人及び法人に関する税制上の措置を受けられる等の特典を与えられます。
後者の具体的な内容については、今年12月の新法施行までに政省令で定められることになります。
■主な認定基準
公益法人認定法第 5 条には 18 項にわたりその基準が示されています。その中での主要な項目は以下のとおりです。
○公益目的事業を行うことを主たる目的としているか
○公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正費用を超えることはないか
○公益目的事業比率が 50/100 以上の見込みか
○遊休財産額が一定額を超えない見込みか
○同一親族等が理事又は監事の 1/3 以下か
○認定取り消し等の場合公益目的で取得した財産の残額相当額の財産を類似の事業を目的とする他の公益法人に贈与する旨を定款で定めているか等これらの基準は、当会の現状でも大部分がクリアできていますが、最大のチェックポイントは 「公益目的事業比率50%以上」という規定です。では、言葉の定義から確認しておきましょう。
■公益目的事業とは
公益法人認定法では、「公益目的事業」とは以下のように定義づけられています。
公益目的事業(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
四 公益目的事業 学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものをいう。
別 表 〔第二条関係〕
一 学術及び科学技術の振興を目的とする事業
二 文化及び芸術の振興を目的とする事業
三 障害者若しくは生活困窮者又は事故、災害若しくは犯罪による被害者の支援を目的とする事業
四 高齢者の福祉の増進を目的とする事業
五 勤労意欲のある者に対する就労の支援を目的とする事業
六 公衆衛生の向上を目的とする事業
七 児童又は青少年の健全な育成を目的とする事業
八 勤労者の福祉の向上を目的とする事業
九 教育、 スポーツ等を通じて国民の心身の健全な発達に寄与し、又は豊かな人間性を涵養することを目的とする事業
十 犯罪の防止又は治安の維持を目的とする事業
十一 事故又は災害の防止を目的とする事業
十二 人種、 性別その他の事由による不当な差別又は偏見の防止及び根絶を目的とする事業
十三 思想及び良心の自由、 信教の自由又は表現の自由の尊重又は擁護を目的とする事業
十四 男女共同参画社会の形成その他のより良い社会の形成の推進を目的とする事業
十五 国際相互理解の促進及び開発途上にある海外の地域に対する経済協力を目的とする事業
十六 地球環境の保全又は自然環境の保護及び整備を目的とする事業
十七 国土の利用、 整備又は保全を目的とする事業
十八 国政の健全な運営の確保に資することを目的とする事業
十九 地域社会の健全な発展を目的とする事業
二十 公正かつ自由な経済活動の機会の確保及び促進並びにその活性化による国民生活 の安定向上を目的とする事業
二十一 国民生活に不可欠な物資、エネルギー等の安定供給の確保を目的とする事業
二十二 一般消費者の利益の擁護又は増進を目的とする事業
二十三 前各号に掲げるもののほか、公益に関する事業として政令で定めるもの
■ガイドラインと会計基準
新法施行へ向けて、先般、内閣府公益認定等委員会において、公益認定等ガイドライン(案)及び公益法人会計基準(案)が策定され、3月1日から30日までパブリックコメントの募集が行われました。(メール登録会員の皆様には電子メールでご案内し、当会ホームページでもお知らせしました。)これらの手続きを経て、近々正式なガイドラインや会計基準が示されることになります。当会の対応はそれらの決定を待ってからということになりますので、来年度に入ってから具体的な検討を進めることになりますが、課題が「公益目的事業の内容」と「会計処理」にあることは明白です。大きな懸案ですので、県本部としても情報提供に努めてまいりますが、内閣府や行政改革推進事務局のホームページには常時情報公開されていますので、特に支部役員の皆様方には関心を高めていただき、有意義な意見交換ができるようご協力をお願いいたします。次回は、公益社団法人への移行の手続きについてご紹介する予定です。

先月号では、 公益法人認定の概要について紹介しました。 今月は、 公益法人への移行の仕組みについて説明します。
■5 年の移行期間
公益法人制度改革は、平成18年6月2日に交付された一般社団・財団法人法、公益法人認定法、並びに整備法(いずれも略称)という三つの法律に基づいて実施されます。これらの法律の施行は、公布の日から2年6ヶ月を超えない範囲で政令で定める日となっていますので、本年、平成20年12月2日までには施行されることになります。ただし、法律の施行から5年間という移行期間が設けられていますので、その間に移行の手続きを行うことになります。法律の施行と同時に、現行の公益法人はすべて法律上の「特例民法法人」という扱いになりますが、その内容は現行の公益法人と同じで、通常の名称もこれまでどおり「社団法人〜」「財団法人〜」でかまわないことになっています。
■認定申請の流れ
一般社団法人に移行する場合は、移行期間中に一般社団・財団法人法に基づく「認可申請」を行い、一般社団法人としての「認可」を受けることになりますが、当会のように公益社団法人に移行する場合は、公益法人認定法に基づく「認定申請」を行い、公益認定の基準に適合するものであるという「認定」を受ける必要があります。
申請先は、士会連合会のように事務所の所在地や法人の事業活動区域が、複数の都道府県にまたがる場合には内閣総理大臣、当会のように一つの都道府県内にとどまる場合には都道府県知事となります。
認定申請に必要な書類は、以下のとおりです。
@申請書 (申請法人の名称、公益目的事業の種類・内容などを記載)
A定款及び定款の変更の案
B事業計画書、収支予算書、財産目録、貸借対照表その他の財務書類
C役員の報酬支給の基準
Dその他(→詳細は、今後内閣府令で定められます。)
申請を受けた内閣府(都道府県)は、申請書類を確認の上、公益認定等委員会(都道府県に置かれる合議制の機関)に諮問します。
公益認定等委員会の答申を受けて、認定をすることが決定されると、認定書が交付されます。
認定を受けた法人は、2週間以内に主たる事務所の所在地の登記所に、また、3週間以内に従たる事務所の所在地の登記所に、法人の名称等を変える「移行の登記」をする必要があります。移行の登記をした日から、申請した定款の変更が効力を生じ、名称が変わり、公益社団法人となります。
■今後のスケジュール
移行の認定申請までに、新たな公益社団法人にふさわしい法人として、公益認定の基準を満たすことができるよう、事業内容、財務内容や組織を見直しする必要があります。 また、公益社団法人になった場合には、このように定款を変更するという「定款の変更案」(法人名称の変更、目的や事業内容の変更、組織の変更など)を、社員総会の決議を経るなどして、法人として正式に意思決定しておく必要があります。
当会の場合、役員改選を平成20、22、24年度に予定していますので、遅くとも平成24年度には新しい公益法人としてスタートする必要があります。したがって定款変更等の総会決議は遅くとも平成23年度まで、即ち3年以内に行うというスケジュールになります。
認定のガイドラインやモデル定款などがまもなくまとめられることになっていますので、新年度からいよいよ具体的な見直し作業に入っていきます。建築基準法や建築士法の改正により私たち建築士を取り巻く状況が急変する中、建築士会の組織そのものも時代の要請に応えるべく、脱皮の時期を迎えているといえます。会員の皆様が情熱を注ぐにふさわしい、社会に認められる建築士会を作っていきましょう。
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